衝突するのは仕方のないことなのか―経営者が後継者に伝えるべきストーリーとは・・―Ⅰ

 

私は、大学を出た後、東京で就職しましたが、数年後大学院へ進んで、そのときに友人と会社を作りました。

大学院卒業後も、その会社の経営を続けて、10年ほどしてから鹿児島に帰り、父の事務所に後継者として入ったのです。

 

この大学院時代に結婚をし、家庭を持ちました。

鹿児島に帰ったときは、子供は3人、つまり5人家族になっていたのです。

私の年齢も、40をちょっと過ぎていました。

 

この頃には、私の仕事に対する考え方とか取り組む姿勢といったものは、東京でのビジネスを通じて、すでにかなり固まっていました。

その仕事に関する方向性といったものは、それまで父が事務所を創設し経営してきたやり方とはかなり異なっていたのです。

 

そのために、あえてぶつかろうと思った訳ではないにもかかわらず、現実には様々な点で衝突することになりました。

しょっちゅうという訳ではありませんでしたが、ときどき激しくぶつかることもありました。

 

今考えれば、父もきっといぶかしかっただろうと思います。

「こいつ、俺の後を継ぐということで帰ってきたはずなのに、なんでこんなに俺の言う通りにやろうとしないのだろう?」

当時父とは、さほど夫婦仲も良さそうに見えなかった母も、この局面ばかりは父の側につき、

「お父さんがやって来たようにやりなさい。」

としか言いませんでした。

 

まあ私自身も、自分が経営するとなれば、それまでのごく一般的な税理士事務所を想定していた訳ではなかったので、

「ある程度、対立してしまうのは仕方ないかも・・」

と思っていたフシがあります。

それでも何とか理解してもらい、親子うまくやって行けた方がいいな、と考えていたのは事実です。

 

 

つづく