家電メーカーの分析により日本企業の問題点を洗い出す―その原因と解決策―Ⅴ
「日本企業が儲けられるチャンスはあるはずだ。」
と言われる長内教授の説には、私も全く賛成です。
そもそも、これほどのポテンシャルを持ちながらボロボロの経営しかできていない日本企業、とりわけ電気メーカーに対しては私も歯がゆい思いをしていました。
この状況に関する解決策として、長内教授は次のように指摘されています。
― まず、自分たちの持っている資源のうち、何を有効活用すれば、他社と違うことができるか。
もう一つはどの市場に出て行けば、価格競争に陥らないで済むか。(中略)
スズキは、インドの自動車市場で強い。
自分たちの強みを生かせて、他の日本メーカーが進出していないところを考え、成功したのです。―
ここにおいても長内教授は
「画期的な新商品を生み出す必要がある。」
的なことは言っておられません。
また
「より高付加価値な機能を搭載するべきである。」
などとも言っておられないのです。
つまり、
「今ある資源のうち、何をどう活用するのか。」
ということと
「今まで切り拓いてこなかった、どんな市場に出て行くべきか。」
ということを指摘されています。
このいずれも、これまで日本企業があまり注目してこなかった視点ではないでしょうか。
これは、今まで日本企業が取ってこなかった戦略です。
技術過信の日本企業は違うベクトルで開発を行なってきました。
その点を長内教授は次のように指摘されています。
― 新興国では、本当に市場に合ったモノを出すことが重要です。
日本の電機メーカーは、日本らしい付加価値をつけなければいけないと考えがちです。
むしろムダな機能をどこまでそぎ落とせるかが問われます。―
つづく