素朴な疑問―保守と革新、言葉の使い分けについて―Ⅲ

そもそも我々世代までは「保守と革新」「右派と左派」という言い方で区分してきた。

保守の中でも改革派であれば「あいつは左がかっている」と言ったり、革新でも少しでも保守的であれば「あいつは右がかっている」という言い方をしてきた。

つまり、「保守」と「革新」を「右」と「左」という言い方をしてきたのである。

 

これが今の若い人には馴染まないらしい。

その点を田中教授は以下のように分析しておられた。

― 永田町の論理で見れば、「右派対左派」の対立が最も大切に見えるのだが、若い有権者には「新しい枠組み」対「古い枠組み」が重要な対立軸になっている。(中略)

すなわち、若者は保守化したわけではない

彼らは単に、50歳代以上の層になじみ深い「右派対左派」ではなく、「改革か現状維持か」で政党を区別しているのである。―

 

これはつまり、イデオロギー的に現体制と対立していたとしても、現実の路線が昔から変わらなければ「保守的である」と見なされるということであろう。

共産党などはまさにそういう解釈をなされている。

 

こういった分析を読んでいて思うのは、言葉の意味を素直に受け止め、そのまま解釈している点では今の若者の方が当たっているな、ということである。

政治好きの年配者が「あいつは左で、あいつは右で・・・」と、したり顔で振り分けていても、それが旧来の分別の仕方では、今の若者にはピンとこないということになるのだ。

 

世代的には完全に50歳代以上の仲間に入る私でも、

「テレビで政治評論家が言っている右左(みぎひだり)ってなんだかよくわからないな・・・」

と、思っていたくらいである。

より若い人たちの感覚とズレていたのは当然といえば当然のことなのだ。

 

 

つづく