AIにできない仕事とは?―その線引きを明確にする―
人間の仕事がAIに取って代わられるようになるのか否かは、経済アナリストの森永卓郎氏も高橋憲行氏と同様のことを書いておられる。
やはり、アパレルをサンプルに採用されているところが共通している。
―【森永氏】第4の産業革命と言われるのが、人工知能とロボットです。
これは悲観することではなく、人間でしかできない仕事を人間がやり、定型業務は機械に任せるという時代になるということです。
なにかすごいことをやらなければならないと思うかもしれませんが、実は何十年も前からイタリアがやってきたことです。
イタリアのアパレルメーカーを例に取ると、経理や事務処理などはコンピュータにやらせ、倉庫も自動倉庫を導入しています。
そして、感性に関わるデザインや染色、縫製などは人間がやっています。
製品の検査工程には体格の違う男女がいて、その人たちが服を着て着心地がよくシルエットがきれいなら合格、という検査をしています。
これは機械ではなかなかできません。―
イタリアの地方におけるもともとスモールビジネスだったものが、その後ブランド企業として変革していく話は時々取り上げられる。
その具体的な手法として、検査工程で実際に着てみるなどと言うのは、なるほど面白い試みである。
ここで得られる「着心地」などという曖昧なデータは、確かにAIでは対処できない。
事務処理や在庫管理といった定型的な仕事はAIに任せて、非定型的な暗黙知に属する仕事は人間が担当する、というのはこれからのビジネスのあり方を考えるとき極めて理にかなっている。
問題はその線引きをどこにするのか、ということである。
というのは、定型的としか見えない仕事を、新しい技術の導入をすることもなく後生大事に抱え込むタイプの人間がまだまだ多いからである。
世代交代が終わらなければこの「線引き」も最終的に成しえないのだとすれば、おそらく世界の動きに対して間に合わないという事態になるだろう。