イケメンにはイケメンの悩み―そこを打破したアラン・ドロンの魅力―Ⅰ
このブログでもフランの俳優アラン・ドロンについては何回か触れてきました。
団塊の世代及びその上の世代にとっては、絶大なる人気を誇っていた二枚目俳優です。
もう80歳を超えていますので、若い世代の人たちにはあまり馴染みはないかも知れません。
先日、俳優からの引退を発表しましたが、多くの映画に出演し、特に日本での人気が極めて高かったのです。
代表作には文芸大作からサスペンス、犯罪ものまでいろいろあります。
これまで私が観て「カッコいいなあ・・・」と思ったのは「太陽がいっぱい」「サムライ」「シシリアン」「冒険者たち」「仁義」といった作品です。
いずれの映画でも不良青年や犯罪者的な役回りで、主人公であってもわき役でも常に「悪い」二枚目を演じていました。
特に主人公を演じている若い頃の「太陽がいっぱい」、少し年を重ねてきてからの「サムライ」などは、そのクールさ美青年ぶりが際立っています。
「サムライ」のアラン・ドロン
ただ、脇に回ったときの「シシリアン」「仁義」などでは、ジャン・ギャバン、イヴ・モンタンといった個性派俳優に若干食われ気味で、損な役回りと言えなくもありません。
「冒険者たち」ではリノ・ヴァンチュラとのダブル主人公のような役割ですが、やはり、リノ・ヴァンチュラの魅力の方が勝っているように見えます。
こういった映画が何本か続いたせいか、
「アラン・ドロンは2枚目だけど、そこだけが取り柄の役者だからなあ・・・・」
と言ったレッテルを張られることになったようなのです。
そんな彼の立ち位置を見ていると、かつてビートルズが
「人気はあるけど演奏は下手くそだからなあ・・・」
と揶揄されていたことを思い出します。
専門的なことはわかりませんが、
「ビートルズは決して下手などではなかったんだ。」
という評論を読んだこともありますので、人気ゆえの中傷だったのかも知れません。
アラン・ドロンも似たようなそしりを受けたのかも知れないのです。
つづく