財務諸表に表せない「隠れた企業資産」について考える―「知る価値」は顧客側が決める―Ⅴ

先述しましたように、通常経営コンサルタントが行なうコンサルティングは「損益計算書」における数字を伸ばすために直接働きかけるものがほとんどです。

また、コンサルタント専業でなくとも、我々会計人が行なうMAS業務(マネジメントアドバイザリーサービスのイニシャルをとったもの)も同様です。

これらの支援業務に、私がこのブログで述べてきたような「隠れ企業資産」を利用していってはどうか、といったノウハウを紹介したものはありません。

 

というのは、この「隠れ企業資産」は、営々と営んできた企業活動の歴史の中で、次第次第に形成され醸し出されていくものだからです。

したがって、それを切り取るかのように抽出して、はっきりとした形にして外にアピールする類(たぐい)のものではない、と考えられているからです。

 

しかしながら、これは非常にもったいないことです。

何故ならば、この「隠れ企業資産」は、企業を取り巻く関係者にとって、その中でもとりわけ顧客にとって「知る価値」のあるものだからです。

当事者側はそれほど感じていないこの「知る価値」というのは、顧客側にとって、数多く存在するライバル商材の中からセレクトする大きな「理由」になるのです。

 

つづく