財務諸表に表せない「隠れた企業資産」について考える―企業の持つ数字に表れない資産―Ⅳ
企業には、裏に隠れた大きな資産があるのです。
それが、私がこのコラムでしばしば述べてきた、企業の理念哲学であったり、思いやこだわり、信条、受け継がれてきた伝統といったものなのです。
更に、特殊な技術や人材、社長の人脈といったものも「貸借対照表」には全く表現されません。
この裏に隠れた資産が極めて重要なものと私は考えました。(便宜上、この資産を「隠れ企業資産」と呼びます。)
というのは、企業がそれを外にアピールすることでプラスに働くのは、この「隠れ企業資産」に他ならないからです。
通常、「貸借対照表」そのものを表にアピールすることはありませんし、アピールしたところで何のプラスにもなりません。
中小企業の場合「貸借対照表」を重視する第3者は、返済原資が確保できるかどうかの判定に一喜一憂する銀行くらいです。
また、大企業には「株主」という厳しい判定者が存在します。
決算書に表される「貸借対照表」と「隠れ企業資産」はいわば表裏一体をなすものです。
「隠れ企業資産」の質が高く強固なものであれば、それは良い数字となって「貸借対照表」にも反映されます。
逆に「隠れ企業資産」が脆弱であったり制度疲労を起こしていれば、それはやはり悪い数字となって「貸借対照表」に反映されるのです。
つづく