表現力は大きな武器になる:経営トップの情報発信―それをやり続けるべき理由とは?―Ⅲ

 

他人に興味を持たれるか否かの条件である「相手にとってどこか刺さる部分があるかどうか・・」というのは、こちらがアピールしようという中身に対して、そもそも全く接点や関心のない人は、どんなに波乱万丈の面白そうな物語であったとしても乗ってくることはありません。

これはまさに「相手次第」ですので、こちらがどうこうできる問題ではないのです。

 

しかしながら、「できるだけ多く人の心に訴えかけるような表現がなされているか」という条件は違います。

表現力が巧(たくみ)かつ豊かであれば、人々の心に引っかかってくる確立は高まるはずです。

 

例えば

― 時代が進み、受注が増えて工場が手狭になった時期があった。もともと生産効率も悪かったので、もっと広い現在の土地に移転した。ちょうど会社の変わり目のときだった。―

と書くのと

― 高度経済成長時代の波に乗り、受注が拡大してきたまさにそのとき、今がチャンス!と捉えた。次のステージへと進むために、現在の立地へと生産拠点を移したのである。それは、事業が時代とともに大きな過渡期を迎えた時期だったといえよう。―

と書くのとでは、全く同じことを言っていても伝わる印象はまるで違ってくるわけです。

 

前者はただの事実を言っているに過ぎませんが、後者は時代背景や当時の企業の意思というものが反映されています。

同じ事実でも表現によってこれだけ違ってくるのです。

しかも、いずれも全くウソを言っている訳ではありません。

 

つづく