東芝問題に見る日本経営者の本当の問題Ⅰ
中国出身の起業家であり経営コンサルタントでもある宋文洲氏のメールマガジンを毎週購読している。
その宋文洲氏が現在進行中の東芝問題についてメルマガの中で触れておられたので、前回までの玉塚元一氏に続いて日本の経営者像をテーマに取り上げてみたい。
宗氏は東芝との付き合いに関して次のように書いておられた。
―15年前、私は東芝の経営陣と公私両方の付き合いがありました。
お世辞抜きにとても素晴らしい方々でしたし、人間的に尊敬できました。
東芝は本当に良いリーダーが居て良い企業でした。
そんな東芝がこうなるとは驚きです。本当かと疑うほどです。
凋落組織は凋落のリーダーを生み出し、凋落のリーダーがさらに組織を凋落させる。
これはあらゆる組織が凋落する際の軌跡です。
東芝の凋落は15年前から兆候がありました。
東芝のある役員から
「宋さん、当社には2千人も博士がいる。人材の宝庫だからもっと伸びてもいいはず。」
と言われた時、私は
「人材が多すぎて倉庫になったのでは。少しでも我々のような新興企業に分流すればお互いが助かります。」
と答えました。―
この一文を呼んで驚かされるのは、一流企業の人材の豊富さについてである。
博士号を持つ人間が2000人もいるというのは、我々中小零細企業から見れば尋常ではない。
しかし、その実態というのは宗氏の「人材が多すぎて倉庫になったのでは。」という、皮肉にも似た感想に象徴されている。
おそらく、その人材が生かされていないのだ。
宗氏の言われるように「倉庫」になっているのであろう。
これはもったいない話である。
なぜこんなことが起きるのだろうか。
つづく