地方におけるビジネス感覚を考える―地縁血縁商売との決別?―Ⅲ
さてそこで、私がどう考えどう行動したかというと、
「仕方がない。自分も多少なりとも田舎の考え方や行動パターンに合わせなければ。」
とは全く考えなかった。
東京で大学を卒業して新宿の会計事務所の職員としてとして勤務し、その後会社を起こして経営した時と同じように考え行動したのである。
そうすると、先述のような行動パターンが普通の土地柄なので、多少違和感が生じてくる。
私の身近では、仕事上でも父や母が先述したのと同じような田舎式パターンの考え方や行動を取っていた。
母などは私と衝突する度に
「あんたの考え方や振る舞いは、それは東京方式だ。田舎じゃ通じない。私と同じようにしなさい。」
といった発言をぶっつけてきたのである。
母は40過ぎて帰ってきた私を「教育しなければ・・」と本気で考えていたようで、何回も「東京主義」とか「東京方式」という言葉で非難してきた。
いくらそう言われても、自分のスタイルを別に「東京主義」とも「東京方式」とも考えていなかった私は大変戸惑った。
とはいえ、自分の考え方や行動を変える気もさらさらなかったのである。
また、先述したような明らかにビジネスマナーに反するような行動についても、相手はたいていの場合、顧客である経営者か地元の顔見知りの方が多い。
なので、内心「しょうがないなあ・・」と思っていても、こちらから強いて「正すように。」といった助言をすることもなかったのである。
ただ自分の事務所のスタッフだけには、その田舎方式のままで行かせることはしなかった。
私自身、その後も東京との往復を頻繁に行い、常に最新のビジネス情報は取り入れられる状況にしていたので、そういった話はできるだけスタッフにも伝えるようにはしていた。
また、事務所のスタッフに関しては、外部のマナー講師を招聘したりして、一定レベルの仕事に対する姿勢やビジネスマナーは根付かせたつもりである。
つづく