地方におけるビジネス感覚を考える―地縁血縁商売との決別?―Ⅱ
例えば、初対面のとき名刺を交わすこと。
これが普通にできない経営者が結構いたのだ。
私が名刺を差し出すと「あ、ああー、ええーっと。」という感じでそれから慌てて机の引き出しを探し出す人。
「持って歩いたことがないんで。」という人。
様々だったが、さっと出てこない経営者が結構多いことに驚かされた。
「名刺を交換して挨拶をする習慣がないのかなあ・・??」
と、少し不思議に思ったものだ。
事務所に電話をかけてきて、名前を名乗らない方もいた。
「ああ、私だけど○○君いる?」
事務所のお客さんではあるのだが、声だけでは担当の社員でもすぐには分からない場合もある。
ましてやたまたま電話を取っただけの別の社員ではすぐには判断がつかない。
「俺だよ、俺!」
しまいには怒りだす社長もいたのである。
またアポなしもごく当たり前のように行なわれていた。
突然、名前も名乗らずにズカズカ事務所に入ってくるお客さんもいて戸惑ったものだ。
私がたまたま出かけようとしていたときなど、非常に困った思いもさせられた。
「ああ、出かけるとこだったら別にいいんだよ。」
とおっしゃっても全くむげにするわけにもいかない。
仕方なく時間をずらしたこともあった。
さて、地方に帰って驚いたこと、と書いたが、基本的にはこの20年間でそれほど変わった訳ではない。
名刺の件も電話の件もアポなしの件も、今でも同じようなことが日常茶飯事に行なわれているのだ。
もちろんこれらは驚かされたうちのほんの一部の出来事で他にもいろいろあったのである。
つづく