地方におけるビジネス感覚を考える―地縁血縁商売との決別?―
私が最初に社会人になったのは、大学を出て新宿の公認会計士事務所に勤めたときだった。
事務所は、組織としては小さなものだったが、結構厳しく躾けられた。
所長が元軍人ということで、職場の規律については先輩たちからもきちんと教え込まれたのである。
ただ、私の方もそれまで学生で散々自堕落な生活を送っていた割には、すぐ馴染むことができた。
当時その辺の切り替えは、初めから「そんなものだ。」と思っていたので、割り切ってできた方だと思っている。
かなり昔の話ではあるが、それでも、所長が発する独特の軍隊式命令口調などは、正直かなり窮屈に感じた。
「今時、『軍隊では・・・』とか言われてもなー」と、いつも内心思っていたのである。
とはいえ、今では社会人第一歩としてはちゃんと躾けられたので良かったと思っている。
その後、自分たちで会社を立ち上げたとき、クライアントはほとんどが大企業だった。
それに比べてこちらは、ほとんどフリーランスに近いような感じの小さな会社だったのである。
しかし、相手が大きかったのとマーケティングリサーチといった比較的堅めの仕事内容だったので、仕事上でのやり取りは極めてきちんとしたビジネスライクな形で行なわれた。
私の社会人としてのビジネス感覚やビジネスマナーは、ほぼ、この2か所で培われたと言っていいだろう。
いずれも小さな組織だった割には、ビジネス現場におけるきちんとしたやり取りやマナーを学ぶことのできた結構良い職場だったのではないか、と思っている。
さて、そんなキャリアを持つ私だが、22年前、東京から故郷である鹿児島へ戻って地方のビジネス社会に入っていったときに驚かされたことが幾つかあった。
それは、東京にいる頃、当たり前に行なっていたビジネス上の習慣が通じない場面が結構ある、ということだったのである。
つづく