「のれん」と「ブランド」について考える―「あるもの」と「なるもの」の違い―Ⅴ
さて、上記の2点は、私が自分の事務所のブランディングを図るとすれば・・のサンプル2点である。
「規模の拡大を目指す・・・」「専門特化を図る・・・」いずれも「例えば・・・」ということで例示したに過ぎない。
真面目に事業に取り組んできた証左としての「のれん」は、どんな企業にもあるはずである。
その「のれん」を「ブランド」にまで昇華させるには、明確な戦略とそれを打ち出す意思がなければならないだろう、ということである。
とはいえ、オリジナリティーの高い明確な戦略を打ち出すのは容易なことではない。
企業を取り巻く時代の動きがダイナミックで、しかもその変化のスピードが極めて早いからである。
普通は、明確な戦略を決めてからそれを対外的に打ち出していく、アピールしていくというのがノーマルな順番であろう。
しかし、時代性とは特に関係のない基本的な方向性を決めたならば、むしろ、情報発信を先にやり始めてもいいのではないか、というのが今の私の考えなのだ。
私にとっての「時代性に特に関係のない基本的な方向性」というのは、「税務会計というものに収斂しないで、中小企業経営全般の経営支援に取り組む」といったことになる。
これは、例えば「日本から中小企業が一切なくなってしまう」といったドラスティックな変化でもない限り、周辺のビジネスの事情が少々変化したところで、今のところ変えるつもりはない。
つづく