真面目の功罪―柔軟性への挑戦―Ⅱ
まず、ネット環境の問題である。
豪華客船であれば、設備も最新のものが求められる。
技術的にも、その時代の最新のものが準備されていなければ、富裕層である利用客は納得しないだろう。
蛇口からワインというのは、贅沢度の問題かもしれない。
日本人であれば、おそらくそこまでの装置は求めない。
欧米の人々の場合、豪華客船の上でクラス感のある贅沢を味わいと思えば、それくらいの遊び心のある設備を求めてくるのだろう。
塗装やタイルについてはさらに根本的な問題である。
ファッション感覚を欧米のレベルに合わせなければならない、というハードルを突き付けられた。
つまり、ファッションセンスを問われたわけである。
ただ、この点に関していえば、日本のファッション性が欧米に比べて決して遅れている訳ではない。
それはJR九州で人気の高い「ななつ星」の内装などを見ればわかることである。
したがって、これは三菱重工の現場サイドの問題なのではなかろうか。
作り込む際に、それまであまり必要のなかった、現場における細部にわたる美的なセンスを問われたことになるのだ。
つづく