贈答文化を考えるⅤ
極めて儀礼的ではないか、と思える日本の贈答文化ではあるが、ほとんどすべてがそうか、というと、まあそうでもないケースもある。
私の家内は、食べ物の好き嫌いのとても多い人で、私と違って「これは大好き」といった食べ物は数えるほどしかない。
その代わり、たまにおいしいものに遭遇すると「これはいいわ!」と、知り合い中に贈ったりしている。
私が
「なんでそんなに贈りまくるの?」
と、半ばあきれて聞くと、
「だって本当においしいと思えるものにはめったに出会わないんだから、親しい人にはおすそ分けしてあげたいじゃない。」
との返事。
つい、うれしくってみんなに贈ってあげたくなるらしい。
私から見れば、「それにしてもどうかな?」と思えるくらいあちこち贈っているようだが、これは分からないではない。
家内の場合、おいしさを分かち合いたい人だけに気持ちを込めて贈っているのだ。
まあこれが先述の「お世話になったあの人に、一年分のお礼と感謝を込めて。」という奴だろうと思う。
まあ家内の場合は、お中元お歳暮の時期に関係なく贈っているようだが。
つまり、本来の贈答文化というのは、利害関係のない相手に利害関係に抵触しない形で送るのが本来の姿ではないのか、と思うのだ。
つづく