贈答文化を考えるⅠ
今年もお歳暮の季節がやって来た。
毎年、定期的にくださる方、こちらからお贈りする方、行ったり来たりの季節である。
以前、父が税理士事務所を開業してしばらく経った頃(昭和の時代、もうかなり昔の話ですが・・)お中元お歳暮の数が年々増えていくのがわかった。
いただいたものは取りあえず、床の間の辺りに積み重ねていくのだが、その数が年を重ねるごとに半端じゃなくなっていったのを記憶している。
「税理士という職業は、随分いただきものが多いんだな・・・」
と思ったものだった。
私や弟が大学生の頃、夏休みや冬休み、帰省した際には倉庫にたまりにたまったビールを毎日4,5本ずつ飲み干していくのが日課みたいなものだった。
休みが終わって東京に帰る頃には、お勝手口の外は何十本もの空のビール瓶で足の踏み場もないくらいになっていた。それでも1シーズンを超えて余ったビールで倉庫は溢れていたのである。
考えてみれば、世の中は高度経済成長時代、堅調な国内消費に支えられて、日本の贈答文化が最も花開いた時代だったのかも知れない。
当時は、そんな現象にあまり疑問もなく「こんなもの」と思っていたのである。
つづく