たらちねの・・・・Ⅱ
そういえば、その全国模試の国語で1番を取った時のエピソードはまだある。
国語で同点の男が同じクラスにいたのである。
それまでは、そいつのことを真面目ないい奴と思っていたので、私は
「おお、お前もか。よかったなあ。」
と素直に喜んだ。
ところが彼は、怠け者の私と同点だったのがよほど悔しかったのか、
「お前がいなかったら俺が一人で一番だったのに・・・」
と言われてしまった。
今思えばずいぶん子供じみた発言である。
まあ、私と違ってほかの科目も万遍なくできていた彼は、その後希望の大学にちゃんと受かったのだが、その時は
「なんてケツの穴の小せえ野郎だ!」
と、思ったのを覚えている。
それはともかく、何であの頃国語だけはよくできていたのだろう、と思うのだ。
何か、それなりの理由があったのだろうか。
それで、ふと思い出したのが、ある薄い国語の参考書である。
それは「新釈現代文」といった。
細かい内容は思い出せないが、現代国語の解釈について実にわかりやすくしかも格調高く書かれていた。
その参考書は、別に予備校で使われていたものではなかった。
当時から名著と言われていたもので、確か先輩に教えてもらって個人的に持っていたのである。
つづく