税理士の仕事ってⅨ
つまり「記帳代行業務」も、「インプット作業」といった入口部分ではなく、「アウトプットの読み込み」といった出口部分において我々税理士の専門性を発揮できれば、標準化、低価格化の呪縛から逃れることができるのだ。
この「アウトプットの読み込み」という行為は、同じ判断作業といってもインプットの際のそれとは格段にレベルが違ってくる。
インプットの際の個別単純な判断と異なり、アウトプットにおいては総合的、包括的な判断が必要とされるからである。
例えば、財務諸表上から
「御社の財務上のウィークポイントはここであり、今後この点の改善が図られなければ、全社的な業績の向上は困難になるでしょう。」
といった指摘が極めて的確であれば、経営者にとってそれは経営上の判断材料としてありがたいものとなるだろう。
ところで、ここまででとどめれば、それは「判断」のサポートである。
結果としての事実を指摘しているに過ぎない。
今までそんな指摘すらしてきていなければ、ここまででも十分に「ありがたい」と思っていただけるかも知れない。
しかし、本当の意味で中小企業のお役に立ちたいのであれば、さらに踏み込んだ「仕事」が必要なのではないか、と私は思っている。
つづく