常識破りの功罪 ―会計人の業界を参考に考える―Ⅲ
実は2年ほど前、我々の業界のもっと大きな会でこれに近い経験をしかかった。
「しかかった」というのは、結局実現しなかった、ということであるが。
その会では、2年前
「中小企業支援に資するためにこれまでにないコンテンツを出そう。」
ということで新しい委員会が発足した。
委員に選ばれた私も何回か会議に出席した。
発足の意図はよかったのだが、肝心のコンセプト作りがちっとも前に進まない。
業を煮やした私は、ある日以前と同じようにホワイトボードを貸してもらい、板面いっぱいに企画の骨子を書いてみた。
書くことによってそこから新たな発想を引き出したかったからである。
しかしながら、前回とは違い今回私の試みはものの見事に黙殺されてしまった。
私の板書へはなんのコメントもないまま会議は次の議題へと移って行った。
どうも『会議の進め方』にガチガチの決まりごとがあり、それによればホワイトボードを使ってのアイディア出しなどは前例のない「不規則発言」の域を出なかったようなのである。
あとで見たら私の発言は「議事録」にすら残っていなかった。
議論の進め方のあまりの違いに戸惑っているうちに、私はその委員会を首になってしまったのである。
つづく