親の愛というものⅣ(おしまい)
またこの問題の背景には「年長者のいうことには逆らってはいけない。」といった儒教的な価値観も垣間見えるような気もする。
だいぶ薄れてきたとはいえ、母親の言いつけは守るべきだ、という呪縛にも似た基本的な考え方は日本人の奥底には消えないで残っているのかも知れない。
こんな風に、母親の愛はひたすら子を思ってのことでありエゴイスティックなものであるはずがない、また子供はその人生の先輩たる母親に逆らうものではない、といった2重の呪縛にがんじがらめにされているのが、この特集に取り上げられている子の世代なのだろう。
特に同性である娘に対しては、母親のエゴがストレートに反映されるのである。
読売新聞のカウンセラーは、次のように結論付けている。
― 子育てが難しい、夫と意見が合わないなど、家族関係に問題を感じたら、こうした親子関係が原因の可能性もある。
その場合、親と距離を置くことが不可欠 ―
「親と距離を置く」などという言葉には、おそらく抵抗を感じる人たちもいるかも知れない。
しかし、これはより大きな不幸を回避するための現代人の智恵なのである。
おしまい