いまだに続く私のスニーカー史―そろそろやめようと思うものの―(後編)
アディダス、スタンスミス再び
コンバースにケッズ、ナイキと並んで有名なブランドと言えば、やはりアディダスということになるだろう。3本ラインが特徴の、このブランドを忘れてはいけない。中でも、スタンスミスは定番中の定番として、雑誌などでもしょっちゅう取り上げられていた。
というわけで、このスタンスミスは上品系スニーカーを代表する逸品として、履かないわけにはいかない存在だった。これまでに何足か履いたような記憶があるのだが、もう何年も手元にはなかった。
かなり細身だったので、サイズは少々気になるが、スタンスミス、もう一回履いてみようかな、という思いはずっと強かったのである。あの定番のデザインは、この年齢になると最終的な落ち着き先として、なんだか捨てがたいものがあったのだ。
というわけで、とうとう先日購入してしまった。かかと部分にグリーンの指し色のあるものが一般的だが、私は全身真っ白のものを購入した。通販だったのでサイズをやや心配したものの、何とか無事に履きこなしている。
アディダスの兄弟分としてよく知られているのはプーマだろう。この2社は本当の兄弟が作った会社としてライバル関係にあるみたいで、結構深刻な争いごともあったらしいが詳しいことは知らない。
プーマはあの横に走るラインのデザインが好きではなかったので一回も買ったことはない。これからもたぶん買わないと思う。

最近購入したアディダスのスタンスミス。すべてが白で作られています。
ニューバランス、上には上があるもんだ
あと、以前よく履いたのはニューバランスである。こいつを初めて履いた時も、ナイキを履いて感動したときのような衝撃を受けた。ナイキ以上の履き心地だったからである。上には上があるもんだと感心した。
尤も、これには異論もあるだろう。ナイキの履き心地だって最高だぞ、という意見も強いと思う。
これはおそらく、ニューバランスの方が私の足型に合っていたからではないだろうか。幅広の私には、ナイキよりもニューバランスの方がぴったりフィットしたのである。しばらくはウォーキング用の一足もニューバランスだった。
どのブランドもそうだが、大抵のものは発展途上国で作っている。現在、東南アジア諸国産のものが多い。
たまに特別版として、アメリカ本国やヨーロッパで作られたものが売り出されることがある。当然値段も高くなる。
以前、確かイギリスmadeだったと思うがニューバランスの特別仕様のものが販売されたことがあった。少々値は張ったものの、どんなもんだろう?と買ってみたことがあった。
見た目とか作りとか俄然カッコ良かった。ところが何年も経たないうちに、靴底のゴム素材みたいなものが劣化してボロボロと崩れてしまったのである。
確か、ナイキも同じようなことがあったんじゃなかったか。オニツカタイガーにはそんな現象はこれまで見られない。それ以来、ナイキとニューバランスへの信頼度は私の中でやや落ちてしまった。
さらに年を重ねた今、ナイキもニューバランスもあまり履かなくなった。もろにカジュアルなものより、少し落ち着いた感じのものを求める気持ちが強くなったからだ。
大人の雰囲気、コールハーンとトッズ
そんな中、よく購入するようになったのはコールハーンである。コールハーンはスニーカー専用メーカーではなく、あらゆるタイプの靴を手掛けているアメリカのブランドだ。コールハーンのデザインは、大人の鑑賞に堪え得る抑制の効いたものが多くカッコ良く見えた。
コアなスニーカーファン、或いはマニアックなスニーカー支持者には、コールハーンなんてスニーカーじゃない、と言われそうだが、大人っぽいカジュアルウエアにはあの抑制の効いたデザインがぴったりなのだ。靴底のクッションの技術などはナイキとコラボもしているみたいだから、スニーカーっぽくないとばかりは言えない気がする。
コールハーンと同じようなコンセプトの企業として、トッズというイタリアのブランドがある。ここのスニーカーも、少し高額にはなるが、素材やデザインが秀逸である。
表参道にフラッグショップがあったので、ちょっと無理して手に入れてみた。完全にカジュアルというよりは少しドレス寄りで、ジャケパンスタイルの時などに履いている。
コールハーンやトッズは、今ではウェアなどにまで手を広げ展開しているが、もともとは靴専用ブランドだった。しかし、現在どんな高級服飾ブランドも、スニーカーを各シーズン企画し販売している。もはやスニーカーはファッションブランドにとって販売戦略上外せない存在なのだろう。

コールハーンの2足。落ち着いたデザインです。

トッズを代表する1足。
オニツカタイガー、日本職人の心意気
まあ若い頃から、どれだけスニーカーを履き続けたかわからない。近年ではコールハーンやトッズにもやや飽きてきて、さすがに「スニーカーはもういいかな」と思うようになった。
それでもオニツカタイガーは意識していて、ときどき購入している。オニツカタイガーには「日本製シリーズ」という、日本の職人さんが一足一足丹念に作っている、というのを売りにしているブランド展開がある。
オニツカではほかのものは、そのほとんどが外国(主にアジア)で作られているが、この「日本製シリーズ」だけは国内生産である。モノも良いみたいだし、値段もやや高い。だからこのシリーズで、「これは!」という靴が販売されたときは、ついつい買ってしまうのだ。
とにかく、スニーカーを買うのはもうやめよう、いい加減、打ち切りにして今持っている奴をローテーションしながらできるだけ履きこなそう、と思うのだが、いかんせん、新しく魅力的な商品が発表されるとつい我慢できなくなるのだ。
しかし、どう考えても残りの生涯、これ以上所有しても、それほど頻繁に履けそうもない。買う楽しみは抑え気味にして、とにかく手持ちの奴を履くことを楽しもうと思っているのだ。

これはオニツカタイガーの「日本製」シリーズの1足。非常に高品質です。
おしまい