私タイプは私だけで結構、だと―信頼度に格差、その差を埋める数式は・・―前編
事務所経営において、私は副代表(この呼び方はあまり好きではありませんが・・)の女性税理士Sさんに全幅の信頼を置いている。
ものすごく真面目な人なので、いろんなことをお任せしても全く安心なのだ。
しかし、この「お任せ」は、彼女にとってやや迷惑なようで
「私だけが忙しくなりすぎます!」
と、しばしば文句を言われている。
確かにそんな気もする。
ただ、仕事をシェアして下手に私が手を付けたりすると、あとでもっとめんどくさいことになりかねないので、最初から彼女に任せておいた方が安心安全なのだ。
と、自分に言い聞かせているのだが・・
とまあ、なんだか我が儘っぽいことを書いてきたが、まあこれが私の事務所の実態なのである。
で、そのことは私自身よーく理解している。
従って、外に向かってはしばしば次のように述べている。
「私は、Sさんを120%信頼していますが、彼女の方は、おそらく私のことを80%くらいしか信頼していないと思います。でも足して2で割ればちょうど100%になりますので、これでうまくいっているのかな、と思っているんですよ。」
とまあ、やや冗談めかした私の勝手な言い分ではあるのだが、お客さんとか取引先に対して、わが事務所の現状、実態をそんな風に説明しているのだ。
すると
「え、そうですか?」
と、隣で聞いていた彼女が怪訝そうな顔をする。
ボスである私がそんな風に言うのを、
「そんな謙遜しておっしゃらないでください。100%、100%のイーブンくらいにおっしゃって結構ですから。」
とでも言ってくれるのか、といえばそうではない。
暗に
『80%もある、と思っているんですか?』
といったニュアンスが彼女の表情から感じとれる。
まあそれを実際に口にまでは出さないけれど、私の冗談にいつまでもはつきあっていられないとばかりに
「ハイハイ、冗談はそれくらいにして肝心の仕事のお話に入りましょう。」
と、いつも流してしまうのだ。
なので、いまだに彼女の真意はわからない。
しかし、だとしてもそこのところはかまわない。
彼女の信頼度が仮に70%くらいだとしたら、私の方の信頼度を130%にギアチェンジするだけなので、いつまでも100%のバランスは保ち続けるのだ。
ここが大事なところだと思っている。
しかし、先日こんなやりとりがあった。
彼女に
「そのうち私が引退したら、Sさんを引き継いでくれる次の後継者も検討しなきゃいけませんね。(税理士法人には二人以上の税理士が必須。ちなみに私と彼女は16歳違い)Sさんが真面目なタイプだから、次はまた私みたいなタイプがちょうどいいですかね。」
と言うと
「冗談じゃありません。代表みたいなタイプは、もうまっぴらごめんでございます。そもそも、代表みたいな性格でも事務所が成り立っているのは、代表だからです。(そんな人がいるとは思えませんが)二人目なんてとんでもございません。」
と言い返されてしまった。(カッコの中は私の想像)
『私だから成り立っている、とはいったいどういうことなのだ?!?そんなに俺は特殊なのか?!?』
と、心の中でしばし考えて
『まあそうかもなあ・・』
と妙に納得した。
彼女に、相当なご負担をおかけしていることは確かなようである。
事務所の女子陣のミーティング風景。
中心にいるのがSさんであります。
つづく