旧弊にこだわらずフルパワーを発揮するベンチャー経営者―おかしなビジネスマナー、さらに深堀り―Ⅱ
組織内に、「ビジネスマナー」と称されるおかしなルールがあってもそれを覚え、やがてそれに慣れるだけで出世すら可能だった日本のビジネス社会。
そういったことのみをそつなくこなしてきた中高年の中には、転職に際して「あなたは、どんなスキルがあるのか?」という質問に対して「『部長』だったらできるんですが・・・」と、答える人材まで出てくる始末なのです。
考えてみれば、こういった人は常に再生産されていくわけで、まちがっても次の代に「才能あふれる個性豊かなタイプの人材」を選ぶことはありません。
そんな人材を登用すれば、自分のポジションが危うくなるからです。
しかし、こんなことが何十年も続けば、引用したコラムの筆者が書いているように「ずっとシンプルなビジネスルールの国に主役の座を奪われる」はめに陥るのです。
私は税理士という職業を選んだので、大きな組織の中の「おかしなビジネスマナー」に直接触れる機会はそれほどなかったのですが、似たような「感じ」を業界団体の役職に投影できる気がします。
おそらく、どんな業界にも「業界団体」のような組織が存在し、そこにはいわゆる「執行部」といったポジションがあるのではないでしょうか。
私も以前は、なんらかの役職に就いていたので、そういった「会務」というやつを担当したことがあります。
ここには独特のルールのようなものがあって、それが今回書いてきた「おかしなビジネスマナー」とよく似ていたことを思い出しました。
ここでは、そのルール守らなければ話が進まないために、私にとってはまことに窮屈で、全く肌に合わなかったことを思い出します。
こういった「会」において、執行部のポジションを獲得できるのは、その「おかしなビジネスマナー」に似たルールをそつなくこなすタイプの人間でなければなりません。
税理士の世界も、時代に合わせて大きく改革していくことが求められていますが、遅々としてその改革がなかなか進まないのは、こういったつまらないルールも一つの原因かも知れない、と思います。
同様のことがほかの業界団体にも言えるのではないでしょうか。
考えてみれば、そういった古いルールを無視し、全く新しい発想でどんどん前に進んでいくベンチャー企業の中に、大きな成功者が現れるのは、当然といえば当然のことなのでしょう。
彼らは、旧弊にこだわることなくフルパワーを発揮できるからです。
ただ私はどう考えても、有形無形の有意で大きな企業資産を抱える従来の日本企業が、このまま「ビジネスマナーが最小限でシンプルな国にどんどん負けていく」姿を見るのは残念でなりません。
ベンチャー企業はパワーがあります。
伝統的企業も負けずに・・・
つづく