本を読むことについてⅢ
確かになあ・・言われてみれば、引用のやたら多い本は読みにくいし読んでいてつまらないものが多い。
テキストや学術論文であればそれも致しかたないところであろうが、実務本は実践の中から生まれたものにしか説得力がないのは、当り前と言えば当たり前の話である。
牟田學氏は次のようにも書いておられる。
― 学生時代は、知性や記憶力を養うために勉強した方がよい。
勉強は学生の仕事である。
しかし、二十歳を過ぎて社会人になると、そういう学問は生かすが、改めて勉強はしないほうが良いことも多い。―
私のようにあまり勉強が好きではない人間にとっては、朗報ともいえる見解である。
とはいえ、そんなふうに都合よく受け取ってはいけない。
学生時代必要なのは、「知性や記憶力」を磨く勉強であって、社会人になってからは「実践力」を磨かなければならない、ということであろう。
理屈ばかりこねていても、実践が伴わなければ社会人としては評価されない。
そして、この自らが体験した「実践力」を体系化し文字にするためには、なまじほかの本を読んだりして余計なノイズを入れないほうがいい、ということなのであろう。
ただこれは、やってみると結構きつい作業ではあった。
つづく