アドバイス業務をより充実した精度の高いものに―我々の仕事はどう変化していくのか?「これまで」と「これから」を考える―16

日本国憲法には、国民の三大義務として「教育の義務」「勤労の義務」「納税の義務」が定められています。

この中の「納税の義務」について、その運用の根幹をなすのが「申告納税制度」と言えましょう。

「申告納税制度」では、納税者自らが納税額を確定させ、納付までを行なうことになっています。

 

いうまでもないことですが、これは国民の知的レベルがある程度高くないと実現できるものではありません。

幸いにして日本の場合、教育制度の充実等により、国民の知的レベルが高かったために、この「申告納税制度」の運用は可能でした。

 

とはいえ、税金の計算はややこしく、間違ってしまえば少なく納税したり、多く納税し過ぎたりという齟齬が起きます。

ここのところを、戦後から資格制度によって支えてきたのが「税理士制度」だったと言えましょう。

 

国が混乱している中、なんとかかんとか申告までを達成し、納税を繰り返している途中で、日本経済は著しく発展し、具体的な要望として浮上してきたのが「節税」というニーズだったのです。

税理士は、この要望に応えることで、日本のビジネス社会の中にそのポジションを確立していったのです。

 

以前、ある先輩税理士に

「いやあ、昭和時代は「節税」という商品が売れに売れたもんだよ。あれで、僕らは随分儲かったなあ・・・」

と言われたことがあります。

なるほど、高度経済成長期は、我々を取り巻くビジネス環境もそんなもんだったんだ、とややうらやましいような感想を持ったことを覚えています。

 

しかし、そんな高度経済成長期もバブル崩壊で完全な終焉を迎え、その後平成の約30年間、日本経済は低迷を極めました。

この間に我々税理士の向き合うべき仕事の内容も、随分変わってきたと言えましょう。

 

前回までで、この間の変化として、原則1年に1回で済ませていた税務申告のサポートを、月次の関与に変えることで節税の準備や期中のアドバイスなどが可能になったことを書いてみました。

今後は、このアドバイス業務をより充実した精度の高いものにしていかなければなりません。

 

我々の仕事の「これまで」については、しっかりと振り返ってみましたので、次回「これから」をまとめて表現してみようと思います。

 

適切なアドバイスで顧客の活性化を

つづく