対応領域を広げていく必要性が・・・―我々の仕事はどう変化していくのか?「これまで」と「これから」を考える―15

さてここまで、かなりの長文になってしまいましたが、我々の仕事の「これまで」と「これから」を分析し、考察を加えることで文章に表現してみました。

国に付与された資格をベースにした仕事ですので、その専門性と「できること」「やっていいこと」「やってはいけないこと」には、はっきりとした境界線があります。

 

「これまで」業界的には、その守備範囲を守り、そこからあまり大きく逸脱しないことで、自分たちの仕事を全うしてきたと思います。

時代背景としては、そう要求されていましたし、それでさほど問題はなかったのだろうと思います。

 

しかし、時代の変化は極めて急速で、ビジネス環境は大きく変容してきました。

従来の専門性に特化した狭い守備範囲では、顧客の要求に応えられなくなってきたのではないでしょうか。

 

「これまで」の専門性や資格要件は守りつつ、対応領域を広げていく必要性が出てきたのです。

その「これから」を、「英語の5W1H」を使って細かく表現してみましたが、最後にそれを文章としてまとめてみたいと思います。

 

従来、税理士事務所は顧客の経理部門を支援することで、数字をまとめ整理して決算を組み税務申告書の作成及び提出を代行していました。

小規模事業の場合は、年に一回この作業を行なえば、それでことは済んでいたのですが、やがて商売の規模が拡大し法人化なりすると、それでは対応できなくなりました。

 

そこで生まれたのが、月次顧問というビジネスモデルです。

月々、顧問先企業を訪問することによって、月次の試算表を作成することで、決算時において1年分の業績をまとめてチェックする必要がなくなりました。

 

また、期中におけるアドバイスなども可能になったのです。

このビジネスモデルによって、企業に対する税務会計面での支援は、格段にレベルアップしたと考えられます。

 

また決算時における節税対策なども、月次で関与することによって事前の対策なども打てるようになったのです。

「節税」は一時、企業経営における最大の関心事で、ここに対する税理士事務所の対応が、最も重要な付加価値業務の一つでもあったのです。

 

「これまで」は、このレベルの関与で、顧客の満足は得られましたし、月次の顧問料を徴収するビジネスモデルに関しても、特に疑問を持たれることもなく推移してきました。

しかし、企業業績が思うように伸びないどころか、廃業が後を絶たない世の中の流れになってきて、もはや「節税」は、付加価値の高いサービス商品とは呼べなくなってきたのです。

 

計算機で作業しているペンを持っている会計士

「節税」はヒット商品だった。

つづく