作るための道具と食べるための道具―私が料理をいとわない理由、創意工夫が面白い?!?―Ⅱ
予期せぬ独り暮らしとなって、はや2年近くが過ぎた。
外食やコンビニ弁当に早々に飽きてしまった私は、健康のことも考えて、見よう見まねでなんとか料理を作るようになったのである。
とはいうものの、これまでちゃんと料理など作ったことがない。
食うことは好きだが、料理を作る方には手を出さなかった。
好き嫌いは特になく、献立やなんかにもうるさい方ではなかったので、カミさんの出すものはだいたいなんでも文句を言わずに食べていた。
飯を提供する方のカミさんにとっては、まあ楽な亭主だったと思う。
がしかし、なにせ自分で作るということは特にしてきていない。
「よっしゃ作ろう。」となって、まず一番困ったのは、料理のレシピを知らないことではなかった。
料理に挑戦するとなったとき、最初の壁は、「台所の勝手がわからない。」ということだったのである。
キッチンには、大きく分けて、作るための道具と食べるための道具の2種類が置いてある。
作るための道具で料理を作って、それを食べるための道具である器(うつわ)に移し、或いは盛り付けて、食べる段取りになるのだ。
その際に、作るための道具と食べるための道具は明確に分かれることになる。
そこが微妙なのは鍋料理であろうか。
まあ、とにかく大きくはその2種類の道具が必要になるのだ。
その中で、食う方の器(うつわ)は、食器棚を見て、なんとかかんとか何がどこにあるか飲み込むことができた。
器は、大きくは洋食器と和食器に分かれるが、そこはカミさんが食器棚を2分してくれていたのでわかりやすかった。
問題は作る方の道具であった。
こっちの方の勝手がなかなかわからなかったのである。
とにかく、手っ取り早いのは炒める料理なので、まずはフライパンが必要になった。
目につくところに1個あることはあったのだが、小さくていかにも貧弱である。
ほぼ、毎日使っているうちに、なんだか物足りなくなってきた。
そこで、ふと思い出したのである。
以前、カミさんと二人でテレビを見ていたとき、日本の職人さんが鋳造技術で作り上げた「魔法のフライパン」という奴を特集していたことがあった。
魔法のように料理がうまくできるということで人気があって、注文しても2年か3年待ちだという。
しかし、カミさんも私も「これは良さそうだ。」というので、その後ネットかなんかで調べて、注文したのである。
そのフライパンは、3年も待つことはなかったが、確かに忘れた頃届いた。
もう、何年も前のことである。
フライパンの裏に放射線状の模様が・・・
これが特徴です。
つづく