ダサいままでいたよりは・・・―「着道楽」?楽しく、面白く生きるのが、私の人生の目標(by石津謙介)―Ⅳ
洋服とかファッションについては、全く頓珍漢だった私を目覚めさせてくれたのは、ほかならぬカミさんだった。
若いときに、くろすとしゆき氏の「トラッド歳時記」という本を貸してくれて、その本を読むことが、私にとってのIVYファッションやトラッドファッションへの入門となった。
まあとにかく、それがきっかけになって、着るものへの興味が醸成されるシーズ(種)となったのである。
今となっては
「あんな本、見せるんじゃなかったわ。」
と、カミさんは少し後悔しているかも知れない。
それに対しては
「ダサいままの旦那でいたよりは良かったんじゃないの?」
と答えたい。
そういったファッションに関する基礎知識ともいえる楔(くさび)が私に打ち込まれたのと同時期に、ちょうど世の中にIVYファッションブームが訪れたのである。
「ポパイ」とか「ホットドッグ」といった若者雑誌も創刊されて、そのブームは瞬く間に広まっていった。
しかし皮肉なことに、田舎の高校生時代、ただひたすら信奉していたIVYファッションブランドの「VAN」はこの頃、会社が傾いて全盛期の勢いを失っていたのである。
VAN倒産の前後だったと思うが、あちこちで会場を設けて、大処分市みたいな催しが行われていた。
そんなバーゲン価格で買ったシャツを羽織って、吉祥寺の街を歩いていたら、同じシャツを着た若い奴と3人くらいすれ違ったことがあった。
それっきり、VANの衣類は敬遠するようになったのである。
確かその頃だったと思うが「WAY-OUT」というブランドが、質の良いシャツやパンツを世の中に送り出していた。
品質もイメージも良かったので、わりとよく購入した。
またさらに、その前後だったと思うが、アメリカのトラッドブランド「Jプレス」も日本に上陸して、上質なIVYウエアを売り出していた。
当時としては少々効果ではあったが、結構無理して購入していたような気がする。
とにかくこうやって、人生最初にキチンとした男性ファッションのルールについて学んだのは、カミさんがきっかけを作ってくれたIVY、トラッドファッションへの入門からであった。
世の中にはもちろんああいう路線を嫌う人種もいるのだろうが、私はすんなりと受け入れることができた。
厚手のチルデンセーターも持っていますが、
分厚過ぎてなかなか着る機会がありませぬ。
つづく