あのー、眼鏡、かけてらっしゃいますけど・・―眼鏡がないっ!一つの現象に見る「もの忘れ」の兆候―Ⅲ(おしまい)
最近、日常生活ではあまり眼鏡をかけなくなった私は、外出のとき、うっかり眼鏡を忘れて出そうになることが多くなってきた。
すぐ気がつくからまだいいものの、気がつくまでの時間と距離がだんだん広がってきたら、ちょっとやばいかも知れない、と思った方がいいのだろうか。
とはいえ、気がついて取りに帰り、ちゃんとかけて出かけられればまだいい。
こんなことが一度あった。
いつものように、出かける段になって、
「さあ、眼鏡をかけて出なくっちゃ。」
と、眼鏡を探すけれど見つからない。
この日は、所長室ではなくて、大部屋の方で仕事をしていたため、そっちのデスク上に眼鏡を置いていたはずだった。
出かける時間になって、立ち上がり、鞄をもって机を離れ際に「さて、眼鏡を・・」と、いつも差し込んでいるホルダーを見るのだが、そこに眼鏡はなかった。
「あれ?あれ?・・」
とあたふたしている私に、総務の女の子が声をかける。
「どうなさったんですか?」
「うん、眼鏡が見当たらないんだよ。どこに置いたかなあ?」
一瞬、その総務女史が目を丸くして私を見つめた。
「あのー、眼鏡、かけてらっしゃいますけど・・」
「え!・・あっほんとだ。かけてらるわ!アハハ・・」
アハハではない。
私は眼鏡をかけていたのに、眼鏡を探していたのである。
室内にいた他のメンバーも一斉に笑った。
「ったく、俺ときたらしょーがねーなー。さ、出かけるか。」
なんとなく誤魔化して外に出たものの、
『うっ、まずい!こりゃあしっかりしなきゃ・・・』
と、自分の劣化ぶりに、改めてあきれる。
眼鏡をかけているときといないときの境い目が判然としなくなったとはいえ、「こりゃあひどい!」と反省しきりである。
お笑いのコントなどでよく、眼鏡を頭に乗せたまま眼鏡を探しまわるというネタがあるが、あれよりももっと笑えるネタであろう。
まあそれでも、眼鏡については、今のところ、室内では外す、外ではかける、の2択で済んでいる。
今は裸眼で仕事や手近の作業など済ませているが、そのうち、老眼が進み、手元も見えにくくなって、遠近両用メガネとかになってきたらめんどくさいな、と思う今日この頃である。
スタバでも眼鏡ははずして・・・・
おしまい