なんで「救命胴衣」なんか着てるんだい?!?ーダウンウェアの思ひ出ーⅠ

ダウンウェアの存在を知ったのは、私が大学に入るか入らないかの50年近く昔のことになるだろうか。

1960年代から1970年代にかけて、ヒッピー文化なる、アメリカ発の今から見るとなんだかおかしな文化が流行ったことがあった。

 

男も髪を長くのばして、男女ともにゾロリとしたルーズな服を着て、破れたジーンズにサンダルみたいな恰好をしていたように記憶している。

何かしらの主張や哲学はあったものと考えられるが、さすがにこれに影響されることはなく、こんな文化もあるのか、と脇目で見ていただけだった。

 

確かそのあとだったと思う。

若干、そういったヒッピー文化の流れに影響されたのか、若い世代を中心にアウトドアブームというのが訪れた。

 

バックパックというフレームのついたリュックサックみたいなものを背中に担いで、あちこち放浪するといったものだった。

放浪といっても、街をうろつくのではなく、自然の中に入っていくといったブームだった。

 

現在のキャンプブームと似たところはあるが、今の方がより日常の延長に近い気がする。

あの頃は、若干、思想信条の主張みたいなものも含まれていたのかも知れない。

 

まあ、そういった社会的背景はともかくとして、そのアウトドアブームに乗っかって、アウトドアウエアブームというのがやってきた。

実際にバックパックをかついで、大自然の中に踏み入れるわけではないが、その機能的なウエアだけはちゃっかりと拝借して、街着として使ってしまおうというわけである。

 

その代表がダウンウェアだったのではないかと思っている。

おそらく、それまでは、あのモコモコとした見た目が、普段に着るのには相応しくない、と思われていたのではないだろうか。

 

そういえば、映画「バックトゥザフューチャー」で、ダウンベストを着て過去の世界に現れた主人公に、当時の住人が

「お前「救命胴衣」を着て、海にでも飛び込む気かい?」

みたいなセリフを言う場面がある。

あのモコッとしたウエアは、それが流行る前は相当な違和感を持って見られたであろう、というのを、ちょっとした言葉のやり取りで、巧みに面白おかしく表現していた。

 

  これはダウンウエアに身を包んだわが家の女子3人であります。昔の写真ですが・・・

つづく