「お洒落極道」の師匠は?―装う楽しみが消えた日々―Ⅲ

食道楽、着道楽でもある私は、その日着て行く服のコーディネートをFB(フェイスブック)にアップしたりして、テキトーに楽しんでいました。

しかし、突然事情が変わったのは今回のコロナ禍であります。

 

そもそも世の中がそういう雰囲気でもなくなったし、休日、あれこれお洒落して出かけることも出かける場所もなくなりました。

仕事の方も、テレワーク、リモートワーク(今はやっていませんが・・・)などで自宅勤務が続けば、着るものに対する気持ちもだんだんユルんできます。

 

なんといっても残念だったのは、たまに上京したとき、出掛ける場所や目的に合わせて、いろいろと考えながら組み合わせていたコーディネートができなくなったことです。

東京では、銀座、青山、麻布、六本木あたりをウロウロすることが多かったので、着て行くものにもちょっと気合が入っていました。

 

特に、近年このブログでも何回か登場した「サロンドシマジ」に通うようになってからは、「お洒落極道」の島地勝彦さんと典雅なお洒落の話がしたくて、彼のバーに飲みに行くときは、着るものにも一層気合が入っていたのです。

週刊プレイボーイの敏腕編集長だった島地さんは、その徹底した食道楽、着道楽、アート道楽ぶりで、私が残りの人生で師と仰ぐ怪人物です。

             マスク姿の島地翁

 

「サロンドシマジ」は、一昨年まで新宿伊勢丹の8回に3坪ほどの小さなサロンを構えていたのですが、そこを出ることになり、昨年4月、西麻布の交差点近くの地下1階に新たなバーを開店したのです。

おりしも開店予定日だった2020年4月7日、島地さんの80歳の誕生日は、東京都がコロナ禍における緊急事態宣言を発布した日と重なり、まさに嵐の船出となったのです。

 

その日私は、できる限りのお洒落をして、何としても駆けつけたかったのですが、さすがに世の中の状況が状況だっただけに叶いませんでした。

その後、2ヶ月ほどの休業を経て無事開店されたので、コロナ禍の合間を縫って上京したときは、西麻布のお店に顔を出すようにしています。

 

特に楽しみしていたのは、去年暮れから今年にかけての冬で、寒い時期にはコーディネートも色々楽しめるため、どんな服を着て島地さんに会いに行こうかとワクワクしていたのです。

ところが、コロナ禍は一向に収まる気配がなく、緊急事態宣言も全く解けなかったので、暮れからお正月の上京も断念せざるを得なかったのです。

 

              極上の一杯

つづく