ここにお座りしてじっとしっているのよ!―昔はお勉強のできる子だったのだが・・もと秀才の行方―Ⅱ

父の転勤先の田舎町で、入学となった小学校。

同じクラスに、とっても頭がいいらしい、と地元では評判の女の子二人がいました。

60年以上経った今でもその女の子たちのことは、記憶に残っている私。

 

さあ、そんなうわさ話などもありつつ入学した地元の小学校。

ところが、1学期に入って学校の勉強が始まると、ダントツにお勉強ができたのは、その二人の女の子ではなく私だったのです。

 

勉強ができた、というのはほかでもありません。

あの頃、小学校で行なわれていたテストというテストは、私には雑誌のクイズくらいにしか思えず、ほぼすべて100点でした。

 

当時は、90点台をとっても私には結構ショックだったのです。

1問間違えることも、自分には許されない、くらい思っていました。

 

まあ、どんなテストもほぼ100点満点ですから、2番になりようがありません。

とにかく、ずっと1番だったのです。

私は先述の女の子二人に対して、意外なダークホースだったわけで、学校ではたちまち目立つ存在になりました。

 

さて、そんな私が2年生になる直前、まだ1年生だった時のことです。

私とひらはらより子ちゃんは、卒業式に出席して、その年卒業する6年生のお兄さんやお姉さんたちを見送る在校生代表に選ばれました。

 

大袈裟に言えば、おそらく生まれて初めての「社会的役割」という奴だったと思います。

私は前述のようにお勉強はできたのですが、この在校生代表という役割がなんにもわかっていませんでした。

 

さて、当日卒業式の式典に出たものの、私はなんのことやらチンプンカンプンでした。

その辺をウロウロしそうになるのを、ひらはらより子ちゃんに服の裾を引っ張られて

「ここにお座りしてじっとしっているのよ。」

と、まるでしつけの悪い犬のように怒られたのです。

 

そうして、ようやく自分がどうしていればいいのか、わかったくらいだったのであります。

まあなんというか、卒業生を見送る側の在校生代表という意味を、あまりちゃんと理解していなかったのです。

 

 

つづく