今さら反省の弁を述べたとしても・・―我がままと孤独は一対であり、それは必ず禍となって返ってくる―Ⅴ

晩年になって、奥さんから離婚を切り出された70代男性による新聞の人生相談。

それまで身勝手な生き方で若い頃はDV(家庭内暴力)もあったという相談の中身に対する、回答者である最相葉月さん(女性)の回答内容は極めて厳しいものになった。

 

女性の場合、怒りや不満があれば、男性のようにそれをその都度吐き出して解消するのではなく蓄積していて、ある日ダムが決壊するようにその不満の原因となった相手に怒りや決意をぶっつけてくる。

この相談の奥さんの場合、「離婚」という決意を伝えたのである。

 

そこに至るプロセスについては、この奥さん、それなりの段取りを踏んでいたのではないかと考えられる。

 

その点について、最相さんは女性としての「読み」として、次のように述べておられる。

― 急に思いたったのではなく、この日に向けて何十年も前から準備されてきたと思います。

コツコツと貯金し、住む場所もあたりをつけておられるでしょう。

これからやりたいこともあるでしょうし、あなたが今さら反省の弁を述べたとしても揺らぐ程度の決意ではありませんよ、きっと。―

 

この奥さんが最相さんの言うとおりに綿密な準備を整えていたかどうかはわからないが、離婚を切り出すということは、それなりに計画し手続きなどもしてあるのだろう。

こうなれば女性の方が強い。

最相さんの言われる通り、こちらがちょっとやそっと反省したぐらいで、奥さんの決意が変わることはないだろうと察せられる。

 

まあ男性の方は「仲は良くなくてもずっと二人で暮らすことを望んでいましたが・・」と書いていたくらいだから、最相さんの言われる「この日に向けて何十年も前から準備されてきたと思います。」などということは、全く思いもしていなかったのだろう。

まあ、この相談に対する結論は見えているようなものである。

 

 

つづく