一発勝負の料理作り―再現性ありません。どうもレシピ通りが苦手なもんで・・―Ⅲ
なにかちょっと食べるものが欲しいときに、料理の得意な人が発する
「あり合わせのもので作ってみました。」
というセリフ。
それを見ていつも
「カッコいいなあ・・・ああやって、チャチャっと作れないものかな。」
と憧れていた私。
ところが、いつの間にか自分でもそのパターンを実践していた、という事実。
料理初心者の私が、なんでそんなことになったのかというと、いろいろ事情がありまして・・・・
それは、そもそも私の中に、レシピ通りに作るのが苦手ということと、少々であればアレンジしながら作るのはむしろ好きかも、ということがあったからだ、と考えられる。
というわけで、その日、冷蔵庫の中にあるものからメニューをひねり出すというのが日常になってきた。
例えば、以前、どこかの高級料亭かなんかが販売していた魚の切り身の味噌漬けというのがあった。
味付けをしたたっぷりのお味噌で何種類かの魚の切り身をくるみ、一つ一つを丁寧にパッケージした高級食材で、確かどなたからかのいただきものだったと思う。
食べるには、まずくるまれたパッケージから取り出して、そのたっぷりの味噌を落とし、フライパンかオーブンで焼くのである。
複雑な味付けをしたお味噌の風味が中まで染みていて、至極の一品であった。
で、お話はその切り身についてではない。
私はたっぷりとまぶしてあったそのお味噌を、ただ洗い落して捨てるのがもったいないと思い、別の容器にとっておいたのである。
この味わい深いお味噌、なにか別の料理に使えないか、と思ったのだ。
とはいえ、そんなものなかなか使うチャンスが訪れない。
仕方がないので、しばらく冷蔵庫の中に放ったままにしておいた。
すると、今度はちりめんじゃこをたくさんもらう機会があった。
ちりめんじゃこも、それだけの量、そんなに食べられるものではない。
そこで、そのちりめんと先ほどのお味噌を合わせ、フライパンで炒って佃煮をこしらえてみた。
これは狙い通りうまくいった。
少し塩辛かったが、ほかの食材と合わせると、実にいい引き立て役になる。
チャーハンに使ったり、野菜の炒め物に混ぜ込んだり、冷奴に乗せたりと活躍してくれてなかなか良かったのである。
しかしこれは、あの高級味噌漬けをまたもらえば話は別だが、普段身の回りにある食材では、残念なことに二度と同じものは作れないのだ。
右上の四角い皿がその味噌ちりめんを使った料理です。
つづく