事業経営、どこに軸足を置くのかⅤ
しかしながら、このことについても、散々苦い思いをさせられてきた。
「ソフトに対して金を出そうとしない。」という点は、おそらく日本の地方における共通の現象ではないだろうか。
中には
「間接部門のソフトなど金を生まないから、コストをかける必要はない。」
と、公言してはばからないトップもいた。
ところがそういった企業では、今まさにそのソフト面での制度疲労が大きな問題になっている。
これは断言してもいいのだが、ソフトに金をかけてこなかった企業ほどどんどん現代経営に乗り遅れている。
金をかけないから乗り遅れるのか、乗り遅れるという意識すら持っていないから金もかけないのか。
いずれにしても、目に見えないソフトやシステムに金をかけてこなかった経営者は袋小路に入っているように見えるのである。
機械や装置のような目に見えるものだけにコストをかけていればそれで済む、といったのどかな時代はとっくに終わっている。
企業経営はまさに総合力の勝負である。
「桶の原理」ではないが、どこひとつでも板の低いところがあれば、そのレベルまでしか水は溜まらない。
様々な「仕組み」において遺漏の無いように体制を整備しておかなければならないのである。