実に気に食わん風潮だ!!―働きたくない?・・・お好きにどうぞ。あなたの勝手です。―Ⅱ

定年退職後は働きたくない、その後も働き続けるという風潮が理解できない、という新聞の人生相談欄への投稿者。

おかしなことを相談する人がいるもんだなあ・・と、不思議に思ったが、50代後半というその男性の主張は、さらに次のように続く。

 

―生活のために仕方なく働くということであれば、わからないでもありません。

でも、企業が定年を65歳まで延長したり、高齢者が定年後も働き続けることを持ち上げたりする最近の風潮には反感を覚えます。

「60歳を超えても働け!働け!」と尻をたたかれているようで、「人生どのように生きようが勝手だろ」といいたくなります。―

 

いやはや、とんだ噛みつきぶりである。

とはいえ、何に噛みついているのか、いまひとつわからない。

本人もわかっているのだろうか。

 

世間の風潮が気に入らない、というのはよくあることだが、それにいちいち噛みついていても仕方がないだろう。

例えば

「近頃は、なにかと女性の立場が強くてかなわん。実に気に食わん現象だ。なんとかしろ!」

というようなことを、がなり立てても意味のない話である。

 

人生どのように生きようが勝手、というのは、まあまさにこの人の言う通りなのだから、好きにすればいいのである。

そんなに仕事が嫌なのであれば、定年まで待つ必要もあるまい。

とっとと嫌な仕事に見切りをつけて、おっしゃるように好きに生きればいいだろう。

 

このあたりちらしは、いったいどこからくるのだろう?と考えてみた。

そうすると、いかにも日本人的なマインドが透けて見えてくる。

真面目かつ同調性の強い日本人は、自分だけ怠け者と見られたくないのである。

 

普通、人は

「いやあ暇で暇でしょうがないですよ。」

とはあまり言わない。

どちらかといえば

「もう忙しくて忙しくて、貧乏暇なしですわ。」

と、一生懸命働いていることをアピールしようとする。

 

この男性の主張を読んでいて、そういったマインドの裏返しなのかな、と思ったりもした。

ただ、この人の言う高齢者に近くなった私(68歳)は、現役で働いているが、別に尻をたたかれているとは感じていない。

むしろ今「働くな。」と言われる方が辛いだろうと思う。

 

            働いてますけど、何か?

つづく