357万社もあれば、中小企業が玉石混淆なのは当たり前―我々の顧客である中小企業の進むべき道は・・―Ⅵ

中小企業の生産性の低さが、そのまま日本全体の労働生産性が低いことに反映している、と指摘するアトキンソン氏。

このままでは、人口減少期へ突入という時代の大転換期とあいまって、ますます日本の経済力を弱くしていくと警告されます。

 

そもそも中小企業の置かれている実態というのは、どういうことになっているのでしょうか。

アトキンソン氏は以下のように分析されています。

 

―数多くある中小企業を一括りにして「中小企業は日本の宝だ」と考えるのは、そもそも乱暴すぎます。

 

もちろん357万社(2016年版中小企業白書)もあれば、玉石混淆なのは当たり前です。

中には「玉=宝」もあるでしょうが、そうではない「石」もたくさん混じっているはずです。

 

確かに、日本の中小企業の中にも、宝といっていい企業も含まれているかもしれません。

しかし、平均値で見ると日本の中小企業はあまりにも生産性が低く、払っている給料も極端に低いのです。

仮に宝が含まれているとしても、全体としては、中小企業はとても宝だと評価するには当たらないのです。―

 

私たちは中小企業についてコメントするとき、どちらかといえば情緒的な触れ方をすることが多いのではないでしょうか。

それは「中小企業は国の宝だ」「日本の技術を守っているのは中小企業だ」「いやいや、私の知っている町工場は凄い技術を持っているんだよ。まさに宝だよ」といった言い回しの中によく表れており、ほぼ中小企業を擁護する立場で語られます。

 

それは、上記のコメントのような優れた価値を持つ企業が現実に多くあるから、というよりも、そもそも弱者である中小企業は擁護されなければならない、といった極めて日本人的なマインドが根本にあるためではないでしょうか。

ここでは、統計上の数字から見られる、中小企業の生産性の低さや給料の低さが語られることはあまりありません。

 

こういった情緒的かつ日本人特有のマインドに対しても、アトキンソン氏は鋭く切り込んでいきます。

 

      中小企業には様々な支援策が・・・・ 

 

つづく