「株主中心主義」から「ステークホルダー主義」への流れは当然―会社はだれのものかを考える―Ⅴ(おしまい)

                日本人には日本人の智恵が・・・・

 

「人手不足」というやむを得ない理由から流れが変わってきたアメリカの「ステークホルダー主義」。

「三方良し」的な考え方の「日本式のステークホルダー主義」とは明らかに異なるこの課題を、日本の企業はどのようにとらえればいいのであろうか。

 

田中教授は次のように締めくくっている。

―人手不足は日本も同じです。

いまは、これまでの「日本式のステークホルダー主義」を見直す絶好の機会。

本当に社員の働き方や成長を考えているか、本当に会社の芯から地域社会に貢献できているか。

ウーバーの成長と失速も参考にしながら、自社が目指すべき方向を考えてみてはどうでしょうか。―

 

日本式のウェットな人間関係で、労使関係を繋ぎ止めるのではなく、従業員や会社の成長発展に本気でかつシステマティックに取り組む、といった姿勢や方針を示していくべきということなのだろう。

田中教授は、「日本式のステークホルダー主義」を見直す絶好の機会、と指摘されている。

 

「会社は誰のものか」というテーマからは少し飛んだような気もするが、こういった方向性は、今後企業活動を推進する上で大切なものになっていくのであろう。

とにかく、「株主中心主義」から「ステークホルダー主義」への流れは、自然なことであり、当然の考え方だと思う。

 

田中教授は「日本式のステークホルダー主義」にはかなり批判的なようだが、アメリカ式のエンプロイーエクスペリエンスやエンゲージメントといった考え方も、近年登場したものに過ぎない。

しかも背景は「人手不足」という、やむを得ない事情によるものだ。

 

一方、日本の「三方良し」的な考え方は昨日今日生まれたものではない。

長い歴史の中で培われてきた日本人の智恵の一つである。

田中教授の言われるように、それが都合のいいときだけ使われるのでなく、その真髄がきちんと理解されていれば、これはこれで立派に機能するのではないだろうか。

私は日本人の智恵をもって、現代にフィットする形で「日本式のステークホルダー主義」をうまくアレンジしていければいい、と思っている。

 

おしまい

 

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