東京での日常は?―都会生活の一日を追ってみた―Ⅱ

その少々きっつい朝の一連の体操を終えると私は有栖川記念公園を出て、六本木方面に向かいます。

テクテクしばらく歩くと、中国大使館の前に出ます。

大使館の周りは通りの角々に、常時警察官が立っており所在なさげに警備をしています。

 

日本と中国の関係を考えると、こんな風に厳重に警備しなければならないのでしょうが、これに関する年間の費用は馬鹿にならないだろうな、と容易に察しがつきます。

私は辻々に立つ警察官に「ご苦労様」の意味を込めて「おはようございます」と挨拶をするのです。

 

中国大使館の前を過ぎると、すぐにお向かいに麻布税務署が見えてきます。

その前を歩きながらいつも思うのは、ここで取り扱う税金の額は、私の田舎で扱う金額とはきっと桁違いだろうな、ということです。

税務署の前には、麻布税務署管内に所属する税理士の名前が一覧で表示されていますが、その数の多さにも驚かされます。

私が田舎で所属する支部は、メンバー数わずか10人ですので、ここでも彼我の違いを思い知らされます。

麻生税務署の前を通り過ぎて、しばらく行くとやはり通りの向こうに桜田神社の小さな鳥居が見えてきます。

私は通りを横切り、鳥居の前で一礼し、中に入ります。

御手水で手を洗い、5,6段の階段を上り、神殿の正面に立ちます。

お賽銭箱の横には、お参りの仕方がイラスト入りで書いてありますので、それに従ってお参りをするのです。

その際に、ポケットを探り、小銭がないか確かめます。

小銭があるときはそれを賽銭箱に放り込むのですが、たまたま小さなお金がないときは、意を決して100円や50円を投げ入れることもあります。

2礼2拍手1礼の作法通りにお参りし、仕事のこと家族のことなど、胸の中でお祈りします。

そのほかに何を祈るかは内緒です。

お賽銭箱の横にはお参りの仕方のほかに、唱えるべき言葉も書いてあります。

それは確か、

祈り給い願い給え

神(かむ)ながら

守り給い幸(さきわ)え給え

と、書いてあったと思います。

何度も繰り返すのですがいまだにうろ覚えです。

 

つづく