今年もやってきた健康診断―1年経つのは早いもんだ―Ⅳ(おしまい)

いよいよ最後の胃カメラだというのに、今度は随分待たされた。

3,40分待っていると、ようやく主治医である同級生のSが顔を出す。

Sは中学からの同級生である。

彼の指示がないと始められないらしい。

 

待合室から処置室に入り、口の奥に再度長いノズルの麻酔薬みたいなものをシュッシュッとかけられたあと、胃カメラの前にあるベッドに横になる。

口にプラスチックの固定器具みたいなものをカパッとはめられて、ガムテで口にしっかりと固定するのだ。

 

先ほどのシュッシュッがクソまずいので、よだれが垂れそうになる。

すると

「唾液はそのまま流れてもいいですからねー」

と、横向きに寝かされた口の下に持参したタオルを置かれた。

『よだれなんか流したくねーや!』

と、やや反発を感じながらしばし待つと、麻酔の注射を右腕に打たれた。

 

毎年思うのだが、この麻酔の注射を打たれたあと、眠くなる瞬間はどうやって訪れるのだろう、と。

その瞬間を見極めたくて、意識を集中するのだが、次に気がつくのはすべての処置が終わったあと、運ばれた別室のベッドの上なのだ。

 

毎年、少しボゥーッとしながらも、よく眠ったあとのように気分はそんなに悪くない。

・・・はずだったけれど、今年はちょっと気持ちが悪かった。

少しよろけながら起き上がって、最後の診断結果を聞きに行く。

 

診察室に入ると、同級生のSが偉そうに座っていた。

「おお、今年は一人か?」

「ああ、カミさんは孫の世話で、娘たちのところへ行ったっきりだよ。」

・・・偉い先生とタメ口をきくので、看護婦さんたちは、毎年少し不思議そうな表情で我々二人を見ているのだ。

 

「血液検査も胃カメラも特に異常なしっ。ちょっとメタボだからよく運動するように。」

・・・Sのいうことは毎年同じである。

『ホントに大丈夫かよ?!?』

と、少々いぶかしがりつつも、今年の健康診断は無事終わったのでした。

 

       なんか、テキトーな感じがするんだけど・・・・

 

 

おしまい