上から目線の確信?―税理士=怒る人、について考える。何故そう思われているのか・・―Ⅳ

そういえば、何故「税理士=怒る人」と思われているのだろう?という今回のテーマについて、こうやって書いていて思い出したことがある。

 

もう亡くなってしまったが、20年ほど昔、ある年配の先輩税理士さんが、

「いやあ、うちの職員には困ったものでね。」

と、懇親会の席かなんかで話を切り出されたことがあった。

「私がいつもお客さんのことを怒るものだから、うちの職員の中には、自分もお客さんのことを怒っていいんだ、と勘違いして、怒り出す者がいるので困ったものだよ。」

と話を続けられた。

 

そう言いながら、本気でそんな職員さんをたしなめなければ、という様子には見えなかった。

むしろ、本当に困ったというよりは、なんだかちょっとうれしそうにしていたのが私の印象に残ったのである。

 

「へえー、この先生はお客さんのことを怒るんだ・・」

と思うと同時に、

「ここは事務所全体でお客さんのことを怒ったりするんだ・・」

と、税理士になったばかりの私だったが、かなりの違和感を覚えたことを思い出す。

 

今考えてみると、その先生は、そもそも税理士というのは顧客のことを怒ってもいいのだ、そんな風に指導しても許される立場にあるのだ、と、かなり上から目線で確信されていたのではないか。

でなければ、わざわざそんな話題を持ち出すこともなかっただろうと思う。

 

税理士制度の黎明期から開業された先生の中にはこんな風に考えていた先生も多かったのではないか、と推察される。

私の父なども「おっかない先生」という印象を世間に与えていたのではないだろうか。

 

ただ、私はこういったことがすべて悪かったとも思わない。

そういういわば「重厚な印象」といったものが、頼りになるし、言うことをちゃんと聞かなければ、と顧客に思わせていたことも確かである。

 

とはいえ、時代背景が著しく変わってしまった。

そんな、重厚で貫禄があって、対税務署に関しても頼りになる存在、というポジションからまた一段階変化する必要が出てきたこともまた事実である。

 

 

 

つづく