まるで別格のアラン・ドロン―ハンサムボーイの系譜、わが青春のスターたち―Ⅲ(おしまい)

さてここで何を言いたいかというと、各時代、美形の俳優というのはそれなりに出てくるものの、あとあとまでしっかりそのイメージをあまり壊すことなく残る人は極めて少ない、ということです。

ルノー・ベルレーもレイモンド・ラブロックも若い頃は、その甘いマスクで日本での人気も高かったのですが、その美形をやがて渋さに変えて長く活躍した、という風にはいきませんでした。

 

そういう意味では、アラン・ドロンが引っ張ってきた俳優人生は、他の2枚目俳優とはまるで別格です。

どっちかというと、美形だけどチャラさの方が目立っていた若い頃よりも、30代から40代くらいにかけての方が、渋さが増してよりカッコよくなっています。

 

しかも、よくあるように太ってしまって体形が崩れたり、変な苦労が顔のしわに出たりということもなく、2枚目ぶりをずっと維持しました。

残念ながら、ルノー・ベルレーやレイモンド・ラブロックは青春の輝きを失った後は、大した活躍も代表作もなく、いつの間にか消えてしまっています。

 

ちょっと話は逸れますが、アラン・ドロンと同世代のアメリカの俳優にトロイ・ドナヒューという人がいました。

彼は、甘いマスクで金髪、背も高かったので、当時の典型的な爽やかなアメリカ人青年役が多かったと思います。

 

その彼も、若さゆえの美形時代を過ぎてからは、大した活躍もなく消え去ってしまいました。

トロイ・ドナヒューは2001年に、レイモンド・ラブロックは2017年に亡くなっています。

 

アラン・ドロンのように、超美形を誇っていたにもかかわらず、長く活躍した俳優というのは、むしろかなり少ないのではないでしょうか。

体調が万全ではない状態ではインタビューを受けたくない、というのも最後まで強い美意識を失っていなかったからにほかなりません。

 

アラン・ドロン、82歳、日本に向けて語ってくれた全力のラストメッセージ

ハードディスクに録ってありますが、こいつだけは消去することなく、ずっとキープしたいと思っています。

 

       映画の1シーン。カッコいいす。

おしまい