衰退の原因に気が付いていないのは当の地方住人―地方におけるこの閉塞感はいったいどこからくるのか―Ⅶ
この、地方における、他者の足を引っ張って止まない負のエネルギーはいったいどこからくるのか・・・
木下氏は、無意識なのか意図的なのか、この疑問については、特に詳しくコメントしていません。
彼としても、そういったマインドが形成される風土についてまで分析するのは控えているのかも知れません。
或いは、そこにはあえて触れない、というスタンスをとっているとも考えられます。
そこにはあえて触れず、結果としてどういうことが起こっているのか、という点について次のように述べておられます。
― 挑戦者を支え、成功者を称えることが地域を発展させる
もちろん、どんなにひどい妨害策を受けても確たる覚悟をもってその地元で事業を継続し、仲間と大きな仕事を成し遂げる成功者・挑戦者もいます。
しかし、ほとんどの人はそのような妨害策などに嫌気が差してその地域を去り、より挑戦に寛容である地域へ移動します。
当たり前です。
地域を変えるために不確実な日々を送るより、別の地域に行ったほうが、話が早いからです。
相対的にいって人口集積が大きく、他人の挑戦に良い意味で無関心な都市部のほうがいちいちやることなすことに他人から介入されることもないため、都市部のほうが新たな挑戦が始まりやすい傾向にあるとも言えます。―
ここの記述に、地方の過疎化が止まらず、結果として衰退していく現象とその原因について簡潔に書かれています。
そうなのです。
誰も背中から負のエネルギーを全身に浴びながら頑張ろうとは思わないだろう、ということなのです。
ただでさえ、新しいことに挑戦し、頑張り続けるのは大変なのに、足まで引っ張られてはたまったもんではない、と考えて当然です。
こうやって地方から新しいビジネスの芽も結果としての人口も減り続けることになるのです。
ところが、そのことに気が付いていないのは、そうなっては困るはずの、当の地方住人なのです。
こういった構造的な問題を、地方自らの力で変えていくことができるのでしょうか。
つづく