業界内の知識だけでは打破できない世の中―「革新」を成長の原動力に変えるのは経営者―Ⅱ
ところで、情報の共有化という点では、その企業の中の共有情報というものがあります。
社内で共有している知識やノウハウです。
それは、やや広く取ったとしても、その業界の共有情報に過ぎません。
その産業における専門性や業界の独自事情といったものです。
これは、業界の人しか知らない一般的ではない知識や情報です。
そういった言わばクローズの情報しか保有していないのは、そこに所属する従業員の特長と言えます。
そしてそれは困ったことに、そういった従業員の立場に限らず、広く外に目を向けていない経営者にも共通して言えることです。
専門分野にはやたら詳しいが、他のことはほとんど何も知らない、いった経営者のことです。
ところが、新しいアイデアというものはその枠を超えたところからしか出てきません。
枠内のアイデアだけでは対処できない、複雑な世の中になっているからです。
その企業が業績不振で永く低迷していたり、業界の保守的な体質のために現状打開の策がなかなか見つからなかったりするのは、それまでの枠の中でしかものを考えていないケースが多いのです。
新しいアイデアというものは、自分の企業や業界を外から俯瞰した時に、初めて「思い当たる」ものなのです。
そのためには、一度その枠の外に出なければ何も見えてきません。
そして、その枠の外から「思い当たった」アイデアは大抵の場合、初め大きな反対を受けます。
業界内の誰も「そんなことは、これまで聞いたことがない!」からです。
つづく