「安売り」という犯罪―悪循環の行き着く先は荒廃した市場―Ⅰ
このブログのタイトルを「安売りという罪」にしようか「安売りという罪悪」にしようか迷った。
「罪(つみ)」では少し軽い気がしたし「罪悪(ざいあく)」というのは少し意味が違うような気がしたので、ちょっと強すぎるかな、と思ったが「犯罪(はんざい)」にしたのである。
このタイトルで書こうと思ったのは、
日経ビジネス2018年1月15日号のオピニオン欄「賢人の警鐘」でキッコーマン取締役名誉会長茂木友三郎氏の書かれた
「生産性向上を妨げるのは低価格原理主義だ。企業は価値向上の努力を」
というコラムを読んだからである。
この中で茂木会長は、まず日本の生産性について次のように書かれている。
― 日本の1人当たりの生産性は、経済協力開発機構(OECD)加盟35ヵ国中20位だ。
米国と比較すると製造業で7割、サービス産業は約5割の水準にとどまる。―
これは近年よく取り上げられる指標である。
特に私の所属しているサービス産業の生産性の低さが際立っているということで、上記のような形で指摘される機会が多い。
私のように、地方の会計事務所という形態でサービス業を営んでいると、特に目の前に比較対象となるものがないので、生産性がそんなに低いのかそうでもないのか捉えようがない。
中でもサービス産業の場合、何かわかりやすい基準が示されないことには、高いのか低いのか判断のしようがないのだ。
そんな風に思っていたら、茂木会長はこれまでとは少し違った切り口でこの点に対するコメントを述べられていた。
つづく