若者が去る理由:映画「ブルックリン」を鑑賞して―少々辛口の地方批評―Ⅱ
昔、散々頭を押さえつけられていたこの意地悪な老婦人に、いわば秘密のようなことを暴露されかけた彼女は、ここで委縮するのかと思いきや、キッと睨み返してこう言い放ちます。
「あなたたちは私に田舎にいて欲しいの。それとも追い出したいの。
私が、何故田舎から離れたかったのか、今はっきりと思い出したわ。
それは、あなたのような人の傍にいたくなかったからよ。」
と。
そして、その足でニューヨークに帰る船便のチケットを予約して帰ってしまうのです。
最後のこの場面を見ていて、改めて
「ああ、古今東西、人が田舎から離れていくパターンは同じなんだなあ・・・
田舎がなかなか発展しない原因がここにあるんだなあ。」
と、思わされました。
都会と田舎の最大の格差は経済でもインフラでもありません。
人材なのです。
人材の格差によって経済格差やインフラ整備の遅れなど様々な問題が引き起こされている、と、私は考えています。
都会の人間はずるくて意地悪で人間性が悪い、といったステレオタイプの人間像を当たり前のように語る人がいます。
それに比べて、田舎の人間は素朴でお人好しで人間性が良い、といったことをまことしやかに語る人がいます。
しかし、本当はそうでないことは当の田舎の人間が最もよく知っているはずです。
ただ、自分にとって明らかに不利になるそんなことは口に出して言わないだけ、なのではないでしょうか。
つづく