専門性とマーケティングⅢ
そうなのだ。
大抵の職業の人は、自分が提供している専門性についてあまり疑問を持っていない。
「製造業は製造業、流通業は流通業、サービス業はサービス業、それぞれの専門分野で成立している。それ以上でもなければ、それ以下でもない。なのに、何を今さらクドクド(マーケティングなどの手段を使って)と説明する必要があるのか?」
と、ほとんどの職業人は思っているのではないか。
特に、税理士のように資格で食っている専門分野の人間はその思いが強い。
資格を取得する際の受験科目で専門領域が規定されているために、それを逸脱して職域を成立させようという意識が薄いのである。
実務を始めてみればすぐにわかることだが、試験科目で勉強した内容をそのまま使える領域など、現実のビジネス社会ではほんのわずかである。
実務はまた別の世界なのだ。
資格試験は実務世界への切符を手にしたに過ぎない。
ただそのことをちゃんと自覚している税理士は意外と少ないのである。
学者にでもなるのならまた別の話だが、「現実のビジネス社会」で最も重要なファクターは、試験で勉強してきたこととは別のところにある。
その一つが「マーケティング」であろう。
つづく