マーケティングの基本を考えるⅨ
さて、第4段階は極めてハードルが高い。
第3段階を「想定内ウォンツ」とすれば、第4段階は「想定外ウォンツ」と呼ぶことができるかも知れない。
まだ誰も予感していないニーズであり、消費者がおぼろげながら「こういうものがあればいいな」とすら思ってもいないニーズである。
それが出現してしばらくしてから「ああ、これはいい!便利だ。」と、人々が自覚するようなもののことを指す。
これを思いつくことができれば、当初競争は全くない。
世の中に受け入れられれば、ほぼ独占状態を作りだすことができる。
例えば音楽の配信サービスが始まった時、世の中にはCDとかMDとか既にコンパクトなデジタル機器は存在していた。
LPレコードの時代と違って、収納にそれほど不自由は感じていなかったはずである。
おそらく配信サービスがある程度普及した後、CDの収納にすら悩まないでいいという利便性に気付いたのではないか。
つまり、CDとかMDとか「モノ」を介在させないで済むという利便性は、後付けで享受されたのではないだろうか。
音楽配信ビジネスは結果としてアップルの独占状態となった。
この利便性と市場性にいち早く気が付いたアップルが、先行してビジネスモデルを作り上げ市場の占有に成功したからである。
つづく