今の時代、孫の尊敬を勝ち取るには―まさかこの俺が息子に負ける日が来るなんて!!―

私の家族関係

私には3人の子供がいることはときどきこのブログでも書いてきた。長女、次女、長男の順である。長女と次女は結婚していて、それぞれに二人ずつ子供、つまり私にとっての孫がいる。長男はまだ独身である。

長男だけはちょっと離れた千葉だが、みんな東京で暮らしている。(どういうわけか、カミさんも東京で暮らしている)上京した際には家族で集まることも多い。年齢を重ねた私のささやかな楽しみと言っていいだろう。

長女のところの孫二人は、8歳の女の子と6歳の男の子である。この子たちが、そろそろいろいろなゲームなどに興味を持つ年頃になってきた。娘はそんなゲームをやり過ぎないように気をつけてはいるのだが、子供たちはついついのめり込んでいるようだ。

先日、その6歳の男の子の誕生日に、家族でちょっとしたお祝いのイベントを行なった。みんながプレゼントなど持ち寄っている中、長男は男の子にゲームソフトを買ってきていた。

事前に、母親である長女などにも相談して決めたようだ。孫の男の子は大喜びであった。

 

傾聴する孫たちの姿

さて、今日の本題はここからである。孫たちとの幸せな風景などお伝えしたいわけではない。ここからが問題なのだ。

ゲームソフトをもらった孫は、さっそくそれをセットして遊び始めた。欲しかったゲームとはいえ、最初は勝手がわからず、なかなかうまくいかないようだ。

すぐにプレゼントしてくれた叔父ちゃんである長男に、どう攻略したらいいのか聞いたりしていた。その隣りで8歳の女の子も興味深げに叔父ちゃんの解説を聞いている。長男は操作方法だけでなく、ゲームのバージョンや機材の向き不向き、今後の傾向なども話していた。

これを見ていてふと思ったのである。

今、孫たちはその叔父ちゃんのことを完全にリスペクトしているな、と。

隣に座っていたカミさんにもそのことを伝えた。

カミさんも私の言いたいことを理解したようで深くうなずく。何故なら、或る意味、こんな日が来るとは私もカミさんも想定していなかったからである。

 

心配した長男の生い立ち

というのは、末っ子の長男は男の子であり、しかも3月生まれということもあって、幼い頃上の二人の女の子に比べて、発育や理解力などその成長の何もかもが遅れているように見えた。

私はそれほどでもなかったのだが、カミさんは結構真剣にその成長の遅さを心配していた。

実際、保育園に通っても小学校に上がってもその遅れはなかなか取り戻せそうには見えなかった。カミさんは、「この子は将来に至るまで、親が面倒を見なければならないレベルの子かも知れない。」くらい思っていたようだ。

ところが、何とか高校まで進み、入試もどうにかくぐり抜けて大学に入った頃から、少しずつ本領を発揮し始めた。理系の学部に入学したのだが、肌に合っていたらしく勉強にも熱が入り、とうとう大学院にまで進んだのである。私もカミさんも、幼い頃からのイメージとしては信じられないような姿だった。

とはいえ、のんびりした性格や立ち振る舞いは相変わらずで、私たちからすればちょっと頼りなく見える末っ子であることに変わりはなかった。ただ彼が、私やカミさん姉たち二人と明らかに違うところがあるとすれば、そのデジタル世界の申し子的なところであった。

高校時代からパソコンには触っていたが、大学に入って一人暮らしとなり、自分のスペースや時間を確保してからは、さらに本格的にのめり込んだらしく、機材のスペックなども高度に設定して、常に最先端のゲームなどで遊んでいたようだ。ようだ、と書いたのは端から見ていても、私にもカミさんにもよくわからない世界だったからである。

ちなみに「秋葉原」は、彼にとって「聖地」らしい。

 

なんにも知らないしわからない人

で、孫たちの話に戻る。そんなプロセスを経てきた長男にとって、孫たちが遊ぶゲームについて、その操作を教えたり解説したりするのは造作もないことのようだった。

目を輝かせながら長男の話を聞いている孫たちを見ていると、この子たちは今叔父ちゃんのことを心から敬愛しているんだな、という気分がひしひしと伝わってくる。よくなついていて人間的にも大好きみたいなのだ。もちろんそれはそれでいい。

ただこのとき、「私やカミさんは全く逆なんだよな。」と思ったのである。どういうことかというと、私やカミさんは、今やっているゲームやその世界のことなど聞かれても、何一つ答えることができないからである。

つまり、孫たちからすれば、じいじやばあばは、目下あの子たちの興味のあることについて、いろいろ聞いても「なんにもわからない人、なんにも知識のない人」ということになるのである。まあ、最初から聞きもしないが。

それでもまだカミさんは、普段身の回りの面倒などマメに見てくれているから、そんな面ではリスペクトもされていることだろう。しかし、この私、じいじときたら、ボウーッとしているだけで、本当になんにもわからない人っていうポジションなのである。

 

そんなの関係ない!!

私は、私を差し置いて、長男がこんな風に誰かのリスペクトを勝ち得る日が来るなどとは夢にも思っていなかった

孫たちに伝えたい。

こらこら、じいじは叔父ちゃんよりよっぽどいろんなことをいっぱい知っているんだぞ。世の中的には俺の方が一目置かれているんだからな。」と。

しかし、孫たちには、まさに「そんなの関係ない。」の世界である。私など飛び越して、息子の築いてきた世界観の方がよほど評価される時代になったのだ。

カミさんが笑いながら言う。

「ほら、お孫ちゃんたちにとっては、あなたより叔父ちゃんの方がはるかに尊敬できる。そんな世の中になったのよ。あなたどうする?

以前、8歳の孫との「年の差バトル」でやりあったことは、このブログでも書いた。この調子だと、私の独り相撲に近い孫たちとのバトルはまだまだ続きそうである。

カミさんには

「ぐぬぬ・・どうするもこうするもあるもんか!俺の本当のすごさが、まだあの子たちにはわからないだけだ。そのうち、じいじの偉大さを自覚する日も来るのさ。」

と、言い返し、心の中で歯ぎしりするのであった。

じいじってそんなにボゥーッとしてる?