本を読むことについて(パート2)Ⅱ
ただ、その牟田氏が、同じ著作の中で読書の重要性についても述べておられたのが面白い。
同じ「社長のいき方」の中の「社長にとって『読書は進歩の母』である」という項で、次のように述べておられる。
― 社長業には勉強が欠かせない。
一生涯が勉強である。
その中でも「読書は進歩の母」だとよくいわれている。
だから、本を読まない人は進歩を放棄していることになる。―
これは今までもよく言われてきたことなので、全くその通りだと思うのだが、先述の見解とはやや矛盾しているようにも見える。
「独自性」について述べられた部分では逆のことを言われていたのではないかと感じるのである。
しかし、この点は次の記述でその意味が理解されるのである。
― 何事か迷った時、問題に直面した時に、解決する方法はたくさんあるが、過去に読んだ本に判断を委ねたり、影響を受けていることは非常に多い。―
なるほど、現在進行中の現実に、何か問題が起こったり、障害が現れたりしたときには、それまで蓄積した知識や先人の智恵が役立つことが多い。
こういった問題に対しては、何かオリジナルなものを生み出す作業とは異なったアプローチが必要だからである。
つづく